エブリディ・ロープライス(EDLP)とは、定期的な特売を実施しないが、毎日、低価格で販売する手法をいいます。世界最大手の小売業であるウォルマートが発案し、このエブリディ・ロープライスによって世界一の小売業にまで成長した。
特売は多くの消費者にとって不利益
多くの日本の企業では、毎日特売を実施して顧客を集めてきました。通常商品よりも大幅に値引きして販売することで集客を図ってきました。ただし、企業は営利を目的としているので、商品を販売して利益が出ないと企業は存続できません。一部商品を大幅値引して販売するということは、その分どこかで利益を出さなければいないのです。
また、特売をすることで問題になるのが、バーゲンハンターの存在です。バーゲンハンターとは、特売品のみを購入する人のことをいい、特売品の中には原価スレスレの商品や原価割れの商品もあって、こういった商品だけを購入するバーゲンハンターは企業にとっては何のメリットもありません。また、バーゲンハンターによって被った不利益は、結局は他の通常の消費者が負担しなければいけません。つまり、特売をすることは多くの消費者にとって不利益になるのです。
特売は、店が御飯のメニューを決定してしまう。
特売を実施すると、多くの人がその商品を購入します。たとえば、餃子の特売を実施したとしましょう。餃子がとても安いので多くの人が餃子を購入します。すると、その店舗の顧客の家庭の食卓には餃子が出されることになります。特売をするということは、他の商品は安くないということです。もし、ハンバーグを作ろうと思ったとしても、餃子を買うことになるかもしれません。つまり、ご飯のメニューの決定権の一部をお店が持つことになるのです。(食べたい物が買いにくいお店になるということ。)
エブリディ・ロープライスのメリット
エブリディ・ロープライス(EDLP)は、これらの特売のデメリットを解消するために考えられました。飛びぬけて安い商品はないが、「一定期間を通じて購入し続けると他店で購入するよりも安くなる」ということをモットーにしています。販売促進費を特定商品に集中して投下する特売政策とは異なり、まんべんなく値引するため、消費者が商品を選択しやすくなり、買い回りやすくなるというメリットがあります。また、バーゲンハンターに対して嫌な感情を抱くこともなくなります。
日本で浸透しない理由
このようにエブリディ・ロープライス(EDLP)は、アメリカで成功しましたが、日本ではアメリカのようにいっていないのが実情です。その理由は、アメリカと日本の「購買行動の違い」によるものであると思われます。
アメリカでは、月に数回しか買物に行かない(行けない)
アメリカは国土が広く、スーパーに行くにも車で何十分かかるところが多いため、買物をまとめてする家庭が多いのです。そのため、「今日はこれが安い」「明日はこれが安い」など特売を実施している店舗よりも満遍なく安い店舗を選ぶ傾向にあります。それは、特売を実施してる店舗で購入するよりも、エブリディ・ロープライスを実施している店舗で購入するほうが、結局は安くなるからです。特売をするということは、特売商品以外は高いので買い物カゴの中を計算すると割高になっていることが多い。これに対して、日本は、比較的近くにスーパーが存在し、毎日手軽に買物ができるため、エブリディ・ロープライスを謳っている店舗よりも特売を実施している店舗の方が魅力的に見えるものと思われます。