商品回転率と交差比率の解説と具体例

販売士検定試験の受験者の多くが不得意とする計算問題。受験者の多くは計算問題を避けてしまう傾向にありますが、よく読んでみると意外に簡単です。できるだけわかりやすく書いていますので、苦手意識を払拭してください。ただ、最近の傾向として、商品回転率の問題は、計算問題より、用語の説明の問題が出題される傾向にあります。商品回転率のポイントは「販売効率をみる代表的な指標」ということです。確実に合格するためにも計算問題も解けるようにしておきましょう。

商品回転率とは

商品回転率とは小売業の販売効率をみる代表的な指標です。商品回転率は、次の式によって算出します。

商品回転率=売上高÷商品在庫高

商品回転率は高いほうが販売効率が良いと判断されます。販売効率が良い??簡単にいうと、仕入れた商品が何回売れたかということです。

  1. たとえば、リンゴを10個仕入れたとします。
  2. そのリンゴ10個を売り切りました。
  3. 在庫がなくなったので、また10個仕入れました。
  4. また売れました。
  5. また仕入れました。
  6. また…また…

この買って、売ってのサイクルのことを商品回転率といいます。商品がクルクル回ってるような感じがしませんか?

商品回転率

なぜ商品回転率は高いほうが良いのか。

なぜ商品回転率は高いほうが良いのか。商品回転率が高いということは、販売効率が高いとか、資本効率が高いなどといわれますが、簡単にいうと、商品回転率が高いということは、それだけリスクが少ないということなのです。では、そのリスクとは?たとえば、次のような2商品があるとします。しかし、この2つのうち、いずれか1つしか販売することができません。このとき、あなたはどちらを選びますか?

  • 商品A:売上高1,000万円
  • 商品B:売上高1,200万円

単純に売上高だけを比較するなら、もちろん商品Bです。売上高が高いですから。では、さらに次のような条件が加わるとどうでしょうか?

  • 商品A:商品在庫高100万円
  • 商品B:商品在庫高200万円

この条件が加わると、商品Aが有利になります。なぜでしょう?

では、もし、これらの商品が流行品であるとしたらどうでしょう?流行品は、次の日には流行遅れになる恐れがあります。在庫が多いということは、それだけ売り切るのに時間がかかるということでもあります。在庫が多ければ、それだけ流行に合わせて商品を変更しにくくなります。在庫が大量に残っているのに、さらに違う商品を仕入れることを繰り返していると会社は倒産してしまいます。では、会社の不祥事により、取扱商品が販売禁止になったら?商品在庫高は販売することができず、損をしてしまいます。わかりましたか?商品在庫高が少ないということは、それだけリスクが小さいということなのです。つまり、商品回転率が高いということは、それだけリスクが小さいということなのです。少ない在庫でたくさん売り上げる。これが理想です。

商品回転率は絶対的な指標ではない。

先に「商品回転率は高いほうがよい」と書きましたが、必ずしも商品回転率が高ければよい、というわけではありません。先にも示しましたが、商品回転率は、次の計算式により計算します。

商品回転率=売上高÷在庫高

となると、次の場合はどうでしょう?

  • 商品A 売上高1,000万円 在庫高100万円 売上原価800万円
  • 商品B 売上高1,000万円 在庫高100万円 売上原価500万円

これらの商品を商品回転率で比較すると、同じ商品回転率になるため、同じ評価がされます。しかし、これらは同じ評価をすべきでしょうか?

  • 商品Aは、粗利益率(売上総利益/売上高)20%
  • 商品Bは、粗利益率(売上総利益/売上高)50% です。

商品には、それぞれ仕入原価があります。商品の評価は、この仕入原価(売上原価)を考慮する必要があります。この指標をのことを「交差比率」といいます。交差比率(%)=商品回転率×粗利益率

粗利益率とは、売上高から売上原価を控除した残額を売上高で除したものです。粗利益率=(売上高-売上原価)÷売上高

予想問題1

問題1 売上高 売上原価 在庫高 粗利益率 商品回転率 交差比率
商品A 1,000円 800円 100円 20.0% (ア) (イ)
商品B 1,500円 1,000円 500円 33.3% (ウ) (エ)
商品C 1,200円 1,000円 300円 16.7% (オ) (カ)
商品D 2,000円 1,500円 400円 25.0% (キ) (ク)

商品回転率は小数点第2位を四捨五入し、交差比率は小数点第3位を四捨五入すること。

予想問題2

解答2 売上高 売上原価 在庫高 粗利益率 商品回転率 交差比率
商品E 2,250円 1,650円 400円 26.7% (ア) (イ)
商品F 3,150円 3,000円 400円 4.8% (ウ) (エ)
商品G 1,100円 100円 400円 90.9% (オ) (カ)
商品H 3,500円 2,210円 400円 36.9% (キ) (ク)

商品回転率は小数点第2位を四捨五入し、交差比率は小数点第3位を四捨五入すること。

解答1

解答1 売上高 売上原価 在庫高 粗利益率 商品回転率 交差比率
商品A 1,000円 800円 100円 20.0% 10.0 2.00
商品B 1,500円 1,000円 500円 33.3% 3.0 1.00
商品C 1,200円 1,000円 300円 16.7% 4.0 0.67
商品D 2,000円 1,500円 400円 25.0% 5.0 1.25

解答2

解答2 売上高 売上原価 在庫高 粗利益率 商品回転率 交差比率
商品E 2,250円 1,650円 400円 26.7% 5.6 1.50
商品F 3,150円 3,000円 400円 4.8% 7.9 0.38
商品G 1,100円 100円 400円 90.9% 2.8 2.50
商品H 3,500円 2,210円 400円 36.9% 8.8 3.23
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