貸借対照表の科目の分類。正常営業循環基準と一年基準とその主従関係

貸借対照表とは企業の一定時点の財政状態を明らかにする表をいいます。

貸借対照表

貸借対照表原則、四において、貸借対照表の各科目について次のように規定されています。

「資産、負債及び資本の各科目は、一定の基準に従って明瞭に分類しなければならない。」

この一定の基準とは、正常営業循環基準と一年基準のことをいいます。

正常営業循環基準

正常営業循環基準とは、企業の正常な営業循環過程内にある項目を流動項目とする基準です。つまり、正常営業循環基準によると、一年を超えて入金又は支払義務のある項目であっても正常な営業循環過程内にあれば、流動項目となります。

一年基準

一年基準とは、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払義務のある項目を流動項目とし、一年を超えて入金又は支払義務のある項目を固定項目とする基準です。

主従関係

貸借対照表の科目の分類には、正常営業循環基準と一年基準ありますが、次のような場合、一体どのように考えればよいでしょうか?

(例)

A社(ワイン製造会社)のほとんどのワインが、通常、製造から販売まで3年間必要である場合のそのワイン。

このような場合、正常営業循環基準によると、当該ワインが販売まで通常3年間要することから、3年間というのは、正常な営業循環過程内にあると考えられるため、流動項目となります。一方、一年基準によると、当該ワインは、製造から販売まで1年を超えることから固定項目となります。ここで問題になるのが、正常営業循環基準と一年基準の主従関係です。簡潔にいうと、正常営業循環基準が主で、一年基準が従です。なので、先の例のワインは、流動資産の部に計上します。

スポンサーリンク


関連記事

サイト移動に伴って各記事のSNSボタンがリセットされました。いいね等が増えると更新意欲が出るのでお願いします。

スポンサーリンク

ピックアップ記事

  1. 販売士の合格率は1級が約15%、2級3級が約60%ですが、私の経験でいえば正しい勉強法であればもっと…
  2. 販売士検定試験の受験者の多くが不得意とする計算問題。受験者の多くは計算問題を避けてしまう傾向にありま…
  3. 販売士の教科書には多くのグラフが掲載されていますが、販売士受験者の多くがグラフを見ていないためグラフ…

ピックアップ記事

  1. 経営組織と組織原則 ライン組織やファンクショナル組織、事業部制組織など

    経営組織には、ライン組織、ファンクショナル組織、ラインアンドスタッフ組織、事業部制組織、マトリックス…
  2. 小売の輪の理論の解説とポイント

    小売の輪の理論について、具体例などを用いて解説します。 小売の輪の理論とは 小売の輪の理論とは、…
  3. 不確実性プールの原理について具体的に説明します。

    不確実性プールの原理(集中貯蔵の原理)とは消費者志向の変化など外部環境の変動に備えてすべての小売店が…
ページ上部へ戻る