繰延資産の償却期間は次のように定められています。
- 創立費(償却期間5年)
- 開業費(償却期間5年)
- 開発費(償却期間5年)
- 株式交付費(償却期間3年)
- 社債発行費(社債の償還期間内)
開業費、創立費は、費用収益対応の原則からいうと償却期間が超長期になる!?
繰延資産は、将来の期間に影響する特定の費用であるために、費用収益対応の原則により、その効果の及ぶ期間にわたって償却することになっています。ただ、そこで問題になるのが、開業費と創立費です。開業費と創立費は、企業が開業のために要した費用で、その効果が企業活動を続いている期間中に及ぶために繰延資産に計上されることになっています。ということは、費用収益対応の原則から考えると、開業費、創立費の償却期間は、企業を開業したときから解散するまでの期間にわたって償却することになります。ここで注目しなければならない点として、会計の考え方にある継続企業の公準です。
継続企業の公準とは、企業は解散を予定しておらず、永続的であるということを前提とする考え方です。
開業費、創立費を継続企業の公準を前提として、費用収益対応の原則から償却期間を考えると、償却期間は超長期になり、毎年の償却額は、0になります(いくら開業費が多額でも償却期間が無限であれば各月の償却額はゼロになります)。つまり、資産計上されたまま償却されないことになってしまうのです。
繰延資産は計算擬制的な資産であり、売却できるものではありません。つまり、厳密にいうと資産ではありません。費用の繰り延べです。ですから、永続的に資産として計上されるのは問題です。そのため開業費、創立費については、償却期間を5年と定めて資産を費用化しているのです。